人はなぜお金で失敗するのか (日経ビジネス人文庫) ベルスキー,ゲーリー を読んだ。2003年だから15年も前の本だ。しかし行動経済学の立場で個人の投資のクセを論じた、ものすごくわかりやすく、よい本だった。
どうしてかって?
自分は投資で失敗ばかりだから。
金利が安い、株式市場も冴えないが、どうやら上がりそうな気配がある、安全な株を買っておこう、そうおもって投資した株が「東京電力」と「東芝」だった。ご存知のように震災後、前者はほとんど整理ポスト入だった。後者も今や会社の資産を切り売りしてどうやら資金を回している状態だ。この頃にアップルとか買っておけば今頃ウハウハだっただろう。
この著者によると(高名な米国の心理学者だ)人間の持つ各種バイアスのおかげで、多くの人が損をしているという。また、自分のように「リスクを取らないつもり」という判断も、あまりよろしくないのだという。かといって頻繁に売り買いするトレーダーも実は統計を取るとその成績は良くないとのことだ。
理由の一つは、「平均への回帰」という統計上知られている動きだ。ある時良いパフォーマンスを出したトレーダーがいたとする。すると「素晴らしい能力だ」というわけで、ここに資産運用を委託する。しかし、実は「たまたま」であることが多く、長期的なパフォーマンスを見ると株式市場の平均より悪い運用成績である、ということが多いそうだ。

著者いわく、自分みたいな素人はインデックス投資、それも積立のようなもの、に限るべき、ということらしい。

では、本題だが、バイアスを打ち消す「プレモータム・シンキング」を行ったらどうなのだろう。

例えば「A社」に投資しようと考える。1年後に株価は半分になってしまった、と失敗したゴールを想像する。そしてそこに至る道筋をイメージしてゆく。
例えば、「決算報告がひどく悪い」
なぜ?
「投資が失敗した」
「ライバルの半導体メーカが新製品を出した」
「テクノロジーの大きな変化が試乗で起こった」
どうしてそれが悪い決算につながったの?
「既存の技術にこだわりすぎた」
「成功体験に縛られている」
などなどがあるように思う。

そうすると、当たり前だが、この会社の投資動向や、方針、市場などもよく見ておくべきということになる。
自分のように、なんとなく会社のイメージで投資しては行けない、という極めて当たり前の対策が見えてくる。
そして、投資しっぱなしでなく「ノードマップツール」みたいなもので立ち位置をチェックすべきだろう。

「それくらい当たり前だろう」なんて投資家の方からツッコミの声が聞こえてきそうだ。
でも、申し訳ないが、自分のような株音痴はこんな事すらできないのである。
そういう意味では、プレモータムをやるまでもなく、もっと「株入門」とか、そういうプロのアドバイスを聞くべきなのだろう。

最後に(負け惜しみでないが)変に素人のくせに「なんとかなる」的な自信をもち、勉強もしないで株を買ってしまう、こういう態度こそが人間のバイアスなのだ。
それに曲がりなりにも気づかせてくれる「プレモータムシンキング」は投資にも多少の役に立つように思う。