「大塚家具が自力再生を断念」とのニュースを見た。
たしか、社長は一橋大学を出た才媛だ。(ある知り合いに聞いた話だが)売り場にも積極的に立ち、家具にかける愛情も人並みならぬものがあったという)ところが、4年で行き詰まった。原因はいろいろあるだろう。自分は、大塚家具という巨艦の舵を一気に切りすぎたのではないだろうか?そんな印象を持った。
そして、かつての失敗を思い出した。
自分はかつて金融機関向けのコンピュータ・システムの営業をやっていたことがある。お客様の要望に合わせてコンピュータ・システムを作り上げ、納入する仕事だ。その中でお客様の要望を、仕様書に書き落とす、という仕事の一部も担当していた。
ある時のことだ。1年間をかけたシステムがほぼ出来上がった。そして、そのお客様に自信満々でお見せした。きっと喜んでいただけるだろう、という自信でいっぱいだった。
ところが、システムの画面を開いてゆくうちに、そのお客様の顔色が曇ってゆく。そして
「こんなはずじゃない」「これでは使えない」と言い出したのだ。
「お客様、あなたの言う通りに作りました。その仕様書もあります」と自分
「いいや、この画面の次は〇〇にならなければ、業務フローにあわない。そういっただろう」「作り直せ!」
いやはや、今思い出しても胃が痛くなる経験だった。
この当時、システムは「ウォータフォール」といって、すべての仕様書を作り、プログラムする。そして、すべてが出来上がらないと、その内容がご要望どおりかどうかわからない、そういう一発勝負に近い作り方だった。だから最後の最後に破綻することが往々にしてあったのだ。
一方、現在では「スクラム」「アジャイル」「スモールチャンク」「プロトタイピング」など、の手法に変わっている。これは、お客様の要望を一つ聞いたら、一つ、目で見える形でプログラムを作り、顧客に確認をし、ブロックを作るように進んでゆくやり方だ。そして、この方法はかつてのウォーターフォールに比べて、遥かにすばやく、要望にあったシステムを開発することができる。
すべてが整わないと結果がわからない、高い品質や完璧性を常に要求する、そういうやり方は時代に合わない。要求はどんどん変わる。人の心も変わる。時代も変わる。
大塚家具も、完璧性にこだわりすぎたのではないだろうか?途中で試してみる、一部を変えてみる、顧客の反応を捉え、舵を切り直してみる、そういう柔軟性と、ある意味いい加減さ、が足らなかったのではないか?
実際は違うかもしれない。しかし、この記事を読んで、そんな感想を持ってしまった。

なお、ちょうど、日経ビジネスオンラインで「石橋を叩きすぎてしまう部下」の記事(URLは下記)を載せさせていただいた。合わせてご覧いただけると良いかと思います。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/052800221/080300012/