あるアーバインに住む投資家の話を聞く機会があった。ハイテク関係を得意としている。その関係で米国で生まれつつある新しい技術とベンチャーたちの話をしてくれる。

今回はドローンビジネスとブロックチェーンだった。

その中で特に印象に残ったプロジェクトがある。

ZIPLINEという会社だ。

両手を広げたくらいのスパンを持つラジコン飛行機のようなドローンを作っているシリコンバレーの会社である。かれらがルワンダで事業を展開、評判を聞きつけて今度はタンザニアに拠点を作るという。

何をしているのか?

ルワンダは山がちな国だ。隣町に行くには山道をジープで超えなければならない。数時間かかることはざらだ。ここで、血液が必要な患者が発生したとする。今までは四駆で数時間書けて血液パックを届けていた。間に合わない。手間だ。雨が降れば状況は更にひどい。

そこでZIPLINEという会社が登場。ドローンの会社だ。拠点から血液パックを入れたドローンを飛ばす。自動的に目的地まで飛行し、血液パックをパラシュートで落とし帰ってくる。ここまでならありがちな話だ。秀逸なのは次の点だ。

まず、ドローンは簡単なランチャーで飛び立ち、着陸はフックで引っ掛け、マットに落下する。だから航空機タイプにもかかわらず、滑走路がいらない。さらに、自律飛行で勝手に往復する。

次に、安い素材を使っている。血液パックはダンボール。パラシュートは紙だ。

最後に、連絡手段にSNS(WhatsApp)を使っているようだ。目的地に近づくと、現地の医者などのスタッフにメッセンジャーで連絡がゆく。すると現地の病院関係者などが、落ちてくるパラシュートを回収する。そう、アフリカはスマホが普及している。

こういう、既存の技術を工夫して組み合わせ、それにクラウド、スマホ、そしてAIなどを活用した優れたソフトウェアで動かす。かつて実現できなかったソリューションが出現する。

そして、何より感動的なこと。それは多くの人名を救っていること。飛行数はもう数千回を超えたという。そしてその評判を聞いたタンザニアが導入を要請。新たに拠点を増やすという。

世界はどんどん進んでいる。できなかったこと、苦しかったこと、不便なこと次々解決されてゆく。

 

詳しくはWiredに記事が出ている

https://wired.jp/2017/09/10/zipline-tanzania/