スキャン 4
「あれ、もう六時か」と、時計を見る。お疲れ様です~」と隣の島の若いやつ。「おお、また明日」 ちょっとトーンが落ちたあなた。
ちくしょう、こっちはまだしばらく帰れそうもない。まったく、今日は想定外のことばかりで、ぜんぜん仕事がはかどらなかった。この資料だって、明日までにクライアントに送らなくちゃいけないのに、まったく手が着けられなかった・・。会社からは残業を減らすように厳しい通達が出ているから、部下にも振りにくい。でも、終わらないわけにはいかない。うーん、終電までに終わるだろうか・・・・。うわっ! この時間になってなんで至急依頼のメールが来るんだ?

 

あなたがビジネスマンである以上、必ず何らかの〆切に追われているはずだ。期日までに何らかの成果を出さなくてはならない。管理職ともなれば、部下の生産効率を上げて、残業をきちんとコントロールすることが強く求められる。結局のところ、自分で引き受けざるを得ない。記録の上で残業は減るが、見えない残業でカバーしているだけの話だ。

 

〆切を守るために私たちは当たり前のように“計画を立てる”。頭をひねり、実行プランを組み立てる。

 

しかし、いつまでたっても目標には到達しない。ゴールは先へ先へと遠のいていく。一歩進んで計画倒れにならないように、毎日の進捗をノートに記録しているやつもいる。それでもなお、予期せぬことに足を取られ、結局は期日通りには進まず、当初期待していたほどの成果につながらないのではないだろうか?

 

自分は、全くそうだった。思い出せば、小学校の頃からだった。夏休みの宿題は8月31日に初めてプリントを広げたもんだ。ダイエットも何回でも!失敗した。資格を取ろうと思い立って勉強を始めても、予定通りにはいかず、準備不足のまま試験の日を迎えてしまい、当たり前だけど、失敗する。

 

どれも思い当たる節ばかりではないだろうか。

 

なぜこうなってしまうのだろう? どうしていつも同じことの繰り返しなのだろう?

計画が楽観的すぎるのか? つい先送りしてしまうクセがあるからか?  実行プランがきちんと細かいところまでイメージできていないのか? それとも、実は心のどこかで成功を疑っているのか? だから次の一歩がなかなか踏み出せなないのでは?

 

そう、実はあなたのせいではないことが、最近になって明らかになってきた。行動経済学や、臨床心理学、などで人間のバイアス、ヒューリスティックス、そして直感と、思考の関係が次々と姿を現してきた。人間は決して完全無欠な合理的な思考をするマシンでない。そして、暗闇に潜んでいたお化けが明らかになるにつれ、当たり前だが、どうしたら良いか、が見えてきたのである。