「これで私の話は終わりです」パワポをくり、そう結びの言葉を終えた。

ロスの裁判所の出来事も一段落し、再びプロダクトマネージャーとしての毎日が戻って来ていた。そうする内に年末も近づき、来年のプランについて考えるタイミングだ。
今日は自分の属する事業部で新しい製品についての提案を事業部長に対して行うことになった。

顔を上げると事業部長のロンが不思議な動物をみたような顔をしている。ボスのマイクはどっちつかずのポジションだが、温かい目をしている(と自分は受け止めた)ようだ。

「で、君は次にどうしたいのだ?」ロンが続ける。あれれ、ちょっと違うぞ? ここから「戦略」に展開するのは彼ら幹部のテリトリーだ。彼らはローレベルからの提案があれば、それを咀嚼し、自分たちのレベルで検討する。だから、自分がロンに期待していた次の言葉は「分かった、ちょっと考えてみよう、ありがとう」だった。

ロンが続ける「どういうロジックでこの提案にリソースをかけるべきだというのだい?」上司のマイクが居心地悪そうに横で座り直す。
とりあえず「今日はまず、このような考え方と製品がこの市場で生きてゆくためには必要ということを言いたかったまでです」と答えた。実は、迂闊なことに、こういう質問は全く予測してなかったので、気の利いた答えも用意してなかったのだ。

「分かった、ありがとう」とロン。ということで会議は終わった。部屋から出掛けに、同席していた同僚のベンに「どう思った?」と声をかけてみた。「あ〜、まあ、いいんじゃない、これからだよな」と軽く返してくれた。なんか、びみょ〜な雰囲気。