ある時、夏の沖縄旅行を計画した。休みが取れるのは七月後半から八月上旬。
沖縄の台風シーズンもだいたい八月半ばから九月くらいだ。とは言うものの、今年の長期予報をよく調べた。台風は遅めの九月に集中するらしい。それに台風は二週間に一回くらいの頻度だからよほどのことがなければ台風にかち合うこともない。そう思って八月に予約、格安チケットなのでキャンセルもできない。が、まあ、大丈夫だろうと考えた。
ところが当日に台風が直撃、キャンセルもできずに嵐の中をホテルで過ごすはめになった。
smile 13

これが良くあるケースは新製品や新企画だ。

ベンチャー時代に「モンスターメーカー」という伝説的なカードゲームをi-Modeで作った ことがある。企画を作り、売り込みにゆき、チームができ、プロジェクトマネージャとしてケンタさんがアサインされた。
伝説的、と書いたが本当に知る人は知る、コアなユーザがついているゲームだ。キャラクタデザインもかわいい。
問題はメモリのないi-Mode画面でどうダンジョンを表現し、キャラを見せるかだ。ここは大宮君が素晴らしいコードを書いてくれた。
キャラの絵はドット絵で表現できた。
そしてケンタさんがドコモに通い、ついに公式アプリとして承認された。

さて、コアユーザがいるゲーム、優れた技術、巨大な販売プラットホーム。これだけそろえばあとは顧客も少なくとも数万はつくだろう。と皮算用をはじいていた。
最後の開発は多少遅れたが徹夜、徹夜で作り上げた。そしてリリースに合わせPRも打った。広告は予算がなかったので、プレスリリースや、ゲーム誌へのレビュー依頼などの露出をかけた。
うまくいくはずだった・・・

しかし、顧客が増えない。最初の三か月で六00人ほど。毎月の入会者と退会者を合わせると一000に満たない。さらに認知を高める手段を考えたり、機能を足したりもした。でも、増えない・・

根本的な「想定外の売り上げ」であった。

ゲームを維持するためには開発を続けなければいけない。ゲームを動かすためのサーバーが必要だ。つまり、コストはかかり続けるのだ。明らかに想定したカーブと違う・・・どうしよう。

これは行動経済学で言う、「計画の錯誤」だ。状況、利益・コスト・確率を合理的に勘定せず、非現実的な楽観主義の基づいて決断を下す人間の傾向のことだ。
成功のシナリオばかり思い描いてミスや計算違いの可能性は見落とす。その結果、客観的に見ればそもそも予算内・納期内に収まりそうもないプロジェクトやプラン、それどころか完成もおぼつかないような計画に邁進することになる。
先の例では台風が来るシーズンは決まっている。それにもかかわらず、自分の都合の良いような解釈を行って、予約変更の聞かない旅行プランを買ってしまった。
後のプロジェクトの例では、楽観的なところばかり積み上げ、ふたを開けると売れない!という事になる。
例を上げるに暇がないほど発生している現象だ。決してあなたが愚かであるわけでない。この傾向の問題点は、プランの成功率が低くなる事だ。そして上手くいかない仕事は後片付けの手間が大変だ。そして、勿論結果は出ない。さあ、どうする?