豪ニューサウスウェールズ大学の社会心理学者ジョー・フォーガスは、否定的な気持ちが驚くような利点をもたらすことを研究している。同氏によると、怒りや悲しみは、「要求度の高い状況に最も対処しやすい情報処理戦略」を発達させるという。フォーガス氏が行なった実験では、死とガンについての短編映画を見せられ、憂鬱な気分に陥った被験者のほうが、噂話の正確さを判断したり、過去の出来事を思い出したりする課題の成績が良かった。また、そのような被験者のほうが、知らない人をステレオタイプ的に分類する傾向が大幅に低く、また、算数の問題で間違いが少なかった。フォーガス氏は、小さな文房具店でも実験を行なっている。実験では、支払いカウンターに小さな物体(玩具の兵隊、プラスチックの動物、ミニカーなど)をたくさん置いておき、出口を出た買い物客に、置いてあった物をできるだけたくさん思い出すように尋ねた。対照した環境は、雨の日に、ヴェルディの『レクイエム』を流す憂鬱な雰囲気と、晴れの日に、ギルバート&サリヴァンの曲を流す陽気な雰囲気だった。結果は、「憂鬱で低調な雰囲気」にいた人たちは四倍の記憶力を示すというものだった。彼らはより注意深かったのだ。(Wired誌 二千十年10月26日の記事) これはプレモータムの威力を別の見方でしめしたケースである