(プレモータム会議は続く)
暗田主任はホワイトボードに書き加える。
「部長の承認」「購買部門の承認」、それと「要望にあった唯一の提案書」。
それぞれを線でつないで関連づける。
「ちょっと待ってください、浦霧課長の部長は剛田部長と懇意ですよね?自分の部下の提案をはい、そうですか、って承認しないでしょう?」宇奈月課長
「承認するとしたらどんな場合が想定されるのですか?」暗田主任
「そうだな、部長にも影響を及ぼせるような人物、例えば業務部長なんかを抱き込めば可能だろうな」剛田部長が苦虫をかみつぶしたような顔で呟く。
暗田主任がホワイトボードに「業務部長への根回し」を加える。
そして、「これらの出来事はいつぐらいから始まるものですか?」と聞く。
「AFHでは、だいたい、承認が降りるには二週間。だからその前くらいから内部調整は始まるものだよ」と宇奈月課長
暗田主任はホワイトボードの中心から外れたところにもう一つ同心円を書いて、そこに「AFH業務部への根回し」と描く。
ここまで書いて皆の方を振り返り
「他にはありませんか?なければ、原因をちょっと整理してみたいのですが」と話す。
ホワイトボードを指差しながら
「これを見ると、大きく①担当課長の意向②AFH関連部門の根回し③競合他社の提案書④承認プロセス がポイントになるように言えますが・・あってます?」と話す。
全員がうなづく。
「じゃあ、この四つはどういう順番に始めるんでしょうか?」と暗田主任がさらに続ける。
「当たり前だろ、まず①の浦霧課長だろ、それから③かな、次に②の根回しがあって、④の承認プロセスだろうな」剛田部長。
それを受けて、暗田主任は順番にホワイトボードにこの四つを縦に書いた。そして参加者の方を見ながら①の浦霧課長の横に小さな丸を描いた。
その下に日本の分岐を描いた。
「私たちは浦霧課長を味方にできるのでしょうか?」と聞いた。
「残念ながら厳しいな」宇奈月課長。
「浦霧課長は二ヶ月前にシステム開発1課から移動してきたんだよ。そこでのメインシステムの契約はSSシステムだったと聞いているよ」