【全てが終わって】
「暗田さん、本当にお世話になりました。危うく失注するところでした」と僕。
暗田主任の会議から一ヶ月。剛田部長以下、営業部は総力で巻き返しを行った。
もちろん、ポイントはあの会議で明らかになった四つの解決策が元になっている。その甲斐もあって、最終的には僕の最初の案件は無事受注することができたのだ。
剛田部長も上機嫌で、宇奈月課長含め、よくやった、と褒めてくれた。
僕も、顔には出してなかったけど、誇りに思った。こんな想いは何年ぶりだろう。
「新海くん、よかったね。」暗田主任がにっこり笑ってくれた。
「でも、金一封くらい、くれてもいいのに」と僕。
「そんなことを期待していたの?」暗田主任が呆れた声をあげる
「自分じゃあないです、暗田さんにですよ」と僕。
「どうして?」暗田主任
「だって、あの時暗田さんが会議をやって、あの、転ばぬ先の杖、でしたっけ?すごいですよね、あれをやってくれなければ失注してましたよ。」僕は口を尖らせた。
「あれは、別に私が考えたやり方じゃないのよ
「プレモータム・シンキング」という方法なの。」暗田主任が窓の外に目を移しながら言った。
「何ですか?それ?」僕