「何ですか？それ？」僕
「人ってね、自分の見える範囲でしか物事を判断できないの。それに、こう言う先の計画などを考える時にバカみたいに楽観的に考えてしまう生き物なの。だからこう言うやり方が考えられているのよ」
「え、じゃあすべてお見通しでした、ということですか？」と僕。
「そういうわけじゃあないけど、人って合理的じゃないのよ。あなただってそうでしょう？思い出してごらんなさい、小学校の頃、夏休みの宿題はいつやってた？」
「あ、いつも休みの最後の日でした。」僕は頭をかいた。
「本当なら時間のある時にやるべきでしょう？」暗田主任は顔をしかめた。「で、そのプレモータム・シンキングってどう言うものなんですか？」と、僕
「人間ってね、何かをやろうとするとありえないくらい楽観的に考えてしまうものなのよ。その挙句、想定外がたくさん起きて失敗をしてしまう。例えば、ベンチャー企業が潰れるのもこれが原因の場合が多いわ。そこで生まれた手法がプレモータム・シンキングなの。」
「例えば、プロジェクトなどを始める前に、その事業が失敗した、と仮定して議論をするの。そうすると、決定権のある権力者や関係者などがプライドなどに邪魔されずに率直な意見交換ができるわ。さらに、人間って悲観的に考えた時の方が抜け漏れがないものなのよ。そうすることで、目標が成功する可能性を高めることができるのよ」暗田主任
「だから、私は心配性なんです、なんて始めたんですね」と僕
「そうよ、ああ言う場合、まず力を持っている人をうまく巻き込むのがコツよ。」
「ところで主任がホワイトボードに丸を描いて、最悪のストーリをまとめてゆきましたよね、あれ、面白いですね」と僕