本大学アメフトはどうして対応を変えないのか?なぜ、「つぶす」に怪我をさせる意図はないと主張し続けるのか?

背後を明らかにしてみたい。

彼らは、「損失回避バイアス」に陥っているようにみえるのだ。

これはカーネマン教授が主張する行動経済学のプロスペクト理論のなかで述べられているもので、人は利益より損失に対してより敏感だ、そして、その傾向はある傾向がある、ということだ。

下記のグラフのように、同じ量のプラス、またはマイナスがあった場合、損失(マイナス)についてすっと危機回避的である(恐怖を抱くのでより避けたいと思う)という心理反応になる。(クロスするところが参照点)
そして、その心理状態は、今本人がどういう状態(良い、中立、悪い状況)で、変化する度合いはその人にとってどれだけ大きいか小さいかによる。

Prospect



日大について当てはめよう。
「コーチが指示した」が明らかになる、という事柄について、大きな恐怖を抱くので何があっても避けようとする。

おまけに、相手は怪我をしていて、すでに炎上している、という悪い状態にある。

「絶対に認めない」 という(ギャンブルにも似たリスクを犯すような)行動を取る。

つまり、認めることで生じる損失(例えば学校での地位を失うなど)に対する恐怖が、すでに大きく、「これ以上は耐えられないくらい」に、大きくなりすぎてしまう。

言い方を変えると、「認める」ことによって起きること(もしかするとメリットもあるかもしれない)は想像もできない心理状態に見える。

これは個人が株などで相場が下がってしまったときに、持ち株を売り払うべきところを、先送りして損失を拡大する(痛みを避けようとする)、その上に一発勝負をするという「リスク選好」の態度をとってしまうことに似ている。

すると、「すぐにバレてしまうかもしれない」が「もしかするとうまくいく」ようなリスキーな手を打ってしまうのだ。

では、プレモータム・シンキングではどう考えるか。

日大のゴールが「そのまま沈静化する」とした場合、これが失敗してしまったと仮定する。

  • 「沈静化しないで炎上した」とるす
その原因を先回りして考えると
「新たな証拠が出る」、それは何か?「他の学生も証言する」「ビデオが出て来る」などだ。では何故そのようになるのか?
「他の選手大勢も不満を感じて声を上げたくなる」ことにより、見過ごされていた証拠が出て来る可能性が上がる。
その他、「大学の身内からも異論が出る」ことがあろう。

何故そうなってしまう?

この事件以前に「関係者の不満が高まっていた」からだ。

では、どうして不満が高まっていたか?・・・など原因が見いだせる。

他には、何が起こるか?

「補助金を提供する側などが圧力をかける」、「上位の権力から別の判断が下る」

どうしてか?

社会問題になってしまったから。関係者にとって自らの問題として、影響が及んできたからだ。

など予想ができる。

これらをカテゴライズすると

「関係者は不満が高まっている」
「社会問題化している」

があがり、これを沈静化することが最優先になる。

すると
「関係者へのコミュニケーション」「沈静化するためには満足する回答」を出さざるを得なくなり、その観点で対応すべきと思う。

例えば「行為をいち早く認め、けじめを明らかにする」ことで圧力をかわす。関係者への影響度を減らすことで、彼らの予想外のアクションを防止する、などかと思う。

いかがだろうか?

(もちろん、危機管理の専門家や研究者、学者の方などはもっと論理的かつ、よい味方、対応があると思う。上記は自分の思考法とそれによる個人的味方であることをご了承頂きたい)

( プレモータム・シンキングを一冊にまとめました。こちらをご覧ください )